どうも、化学メーカー研究職のKojiです。
漠然と「化学メーカー研究職とはこういうものである」という典型的なものがありますが、実際に入社してどのようなギャップを感じたのかについて紹介していきます。
化学メーカーの特徴として思っていたこと
「化学メーカーとは」として一般的に言い伝えられていることがいくつかあると思います。
ちなみに、入社前に私が化学メーカーの特徴として思っていたこととしては具体的には以下のようなことです。
- ホワイト企業
- あまり大きな仕事ができない
- 福利厚生が充実している
- 研究に関しては大学のほうが強そう
- ITをあまり取り入れていなく、時代に乗らない風潮がありそう
特に世間的に化学メーカーといえば、「ホワイト企業が多い」や「福利厚生が充実ししている」という見方をしている人が多いと思います。
もちろん同じ化学メーカーであっても企業によって特性が大きく異なると思いますし、たとえ同じ企業であっても部署によっても異なると思います。
実際に化学メーカーで研究職として働いている私が抱いたギャップについてこれから詳しく紹介していきます。
ホワイト企業かどうか
はじめに、ホワイト企業かどうかです。
化学メーカー=ホワイト企業
という結びつけはやはり、最も耳にする組み合わせでしょうかね。
何を持ってホワイト企業というのかによっても大きく異なるとは思いますが、
一般的には残業が比較的少ないとか、有休を利用できるとか、育休に寛容であるという理解になるんですかね。
ということで今回はホワイト企業の定義として
「残業が少なく、有休を積極的に利用でき、プライベートにも寛容」であることとします。
これに関してズバリ言うと、、、
理系に関しては、
製品に近くなればなるほどホワイト度が下がる
という見方です。
ざっくりと理系での仕事を分類すると、
研究しメニューを考える人、考えたメニューを工場で作れるようにする人、プラントでメニューを作る機器を設計したり、稼働しているプラントをより良く稼働できるようにする人
となります。
ホワイト度で大まかに分類するとこのような傾向があります。
もちろん時期やどのようなことを担当しているのかによっても異なりますが、平均するとこのような感じであると思います。
大学時代にかなり厳しい研究室に所属していた人であれば、「メニューを考える人」の場合、ホワイトに感じるケースも少なくないとは思いますが、
それ以外に関してはあまり残業も少なくはないので、
決してホワイトな業界を背負えるほどではないと感じています。
「化学メーカーは残業が少ない」という考えを正直に捉えすぎると
思っていたのと違うと感じると思います。
大きな仕事ができるかどうか
続いて、大きな仕事ができるかどうかについてです。
結論としては、
思っていたよりも大きな仕事ができる
と感じています。
入社前は、「あまり大きな仕事ができないのかな」や
「仮に大きな仕事でも、当事者意識が高い仕事ではなく、大きな仕事であると実感しないのかな」
と感じていました。
しかし、入社して感じたこととしては、
「かなり重要な案件を若手にアサインしている」
ということです。
単に人手不足な可能性もありますが、
2年目など若くして研究プロジェクトを主導したりするなど、
大きすぎるくらいな仕事をすることができると感じています。
係長が指針を示しつつ、若手を育てつつ、重要な研究を進めていくということで、
比較的面倒見の良い大学の研究室での助教と修士の学生の関係性に似ているものがあると感じています。
若いうちから主導で研究プロジェクトを進めることができるのは
良い経験になると感じています。
福利厚生が充実しているかどうか
続いて福利厚生についてです。
具体的な福利厚生に関して思いつくこととしては、
社員寮、借り上げ社宅、家賃補助であると思いますが、
実際には他にもたくさんあります。
しかし、感覚としては、
恩恵を受けている部分があまり多くなく、あってもないようなものが大多数
というレベルでしょうかね。
もちろん、前提として福利厚生は並みにはあります。しっかりあります。しかし、「福利厚生がある」と強調するほどではないということです。
化学メーカーであるあるなのは、自動車メーカーに燃料電池や部品などを供給しているから自動車を少し安く購入できる
というものであります。
他の商品に関しても素材を提供しているものに関しては購入する際に少し割引が効く傾向があります。
もちろん他の物を購入する際に減額できるものがあります。
しかし、
今自分が全く必要としていないものが安くなると言われても全く魅力には感じないわけです。
全員が使うスマホが安くなったりするのであればかなり良いでしょうが、
運動しない人にとって、「ジム会費が安くなる」と言われても全く魅力に感じませんし、
同様に、お酒を飲まない人にとって「お酒が安くなります」
と言われても何も関係がない話であると思います。
また、誰も使えないようなボロボロの体育館や運動場があるので、「福利厚生のために体育館や運動場があります」と言われてもそれはちょっと違うよね。
と思うと思います。
したがって、「制度としては一般的な福利厚生はあるけど、並みであり、特別恵まれているわけではない」
というのが真実です。
福利厚生に関しては必要なものは備わっていますが、並みであると感じます。
研究力について
大学での研究者は人生を研究に全振りしているレベルで研究をしているので、
大学での研究は企業での研究よりもおそらく優れているんだろうな。
と思っていましたし、
「研究をするのであれば企業よりも大学」
と思っていましたが、
化学メーカーに入社してから感じたこととしては、
企業も優秀な研究者は多いし、研究にかなりお金をかけている。
ということです。
研究の進捗報告でもガンガンディスカッションがありますし、
「昔は大学でポスドクをやっていて転職して企業で研究をしています。」
という人もいます。
大手企業は研究にお金をかけているので、
かなり高価な装置を多数保持していたり、
そこの企業でしか作れない製品を作っていたりするなどの研究力・技術力があるので、
総じて、研究力がかなり高いと思います!
化学メーカーの研究は舐めていたわけではありませんが、
大学に劣らずレベルが高いと感じました。
ITを取り入れ、デジタル化が進んでいるかどうか
続いて、デジタル化についてです。
今や新聞などでデジタルトランスフォーメーション(DX)を見ない日はないといっても過言ではないくらい話題になっています。
そして多くの企業ではDXを活用していることが新聞からも感じられます。
「きっと化学メーカーでも積極的にDXに取り組んでいるんだろうな」
と思っていました。
入社してから気づいたこととしては、
「確かにDXの取り組みは感じることができる。しかし、実感はない。」
ということです。
もちろん、DXの専門の人がいろいろ開発をしています。
その技術を活用して業務効率化はしっかり行われています。
もちろんしっかりプログラムを組んで研究のデータとして活用することを行っている人もいます。
しかし、結局化学メーカーの研究者の下っ端は研究で手を動かしてなんぼなわけです。
例えば、「有機合成で作りたい化合物がある」となったときに、
データを活用して目星をつけるということなど徐々に行われています。
しかし、実験する人は何度も何度も実験を繰り返して、データを取らないといけないわけです。
したがって、実験をやるために入社した人は、
とりあえずはひたすら手を動かすことが仕事になるわけです。
化学メーカーのDXが数年後に一般の人にも普及するのを首を長くして待っています。
まとめ
今回は、化学メーカーの研究職のリアルについて、
入社前後でのギャップと関連付けて記述していきました。
まとめると以下のようになります。
- ホワイトかどうかは業務次第
- 大きな仕事ができる
- 福利厚生は必要なものはあるが、並み
- 研究に関しては大学に劣らず、技術力がある。
- ITを取り入れているが、手を動かして実験をする人にはあまり普及していない
最後までお付き合いくださりありがとうございました。