企業の研究室と大学の研究室はどちらが忙しいのか

化学メーカー

学生
学生

来年から社会人だね。社会人は大変なのかな?

研究室メンバー
研究室メンバー

僕は研究室に長くいるから企業だともっと楽になればいいなあと思っているよ。

Koji
Koji

私も社会人になる前は企業の研究室のほうが楽であるとか、忙しいとか

聞いたのは様々であったので「実際はどっち?」と思っていました。

研究室メンバー
研究室メンバー

そうですね。来年からどのようになるんだろう。

Koji
Koji

具体的に企業で研究をして忙しさの面でどのように感じているのかを記載していくのでぜひ参考にしてください!

 

 

私の主観

初めに私の主観についてお知らせします!

ズバリ、社会人のほうが大変であると感じています。

参考までに私は、大学院生の研究室生活は以下のようでした。

『平日は8時間~10時間は研究室で研究活動を行い、場合によっては休日も数時間費やしていた。』

したがって、決して研究室の滞在時間は決して短すぎるという訳ではありませんでしたが、

やっぱり企業での研究をしている現在のほうが忙しく感じています。

ちなみに、月の職場や研究室の滞在時間で考慮すると私の場合は大学と企業で同じくらいです。

では、大学院での研究室生活より、企業での研究のほうが忙しいと感じる理由について以下で説明していきます!

自由が少ないから

一つ目の理由は、自由の少なさです!

研究室のときはちょっと研究室を抜け出して、

また夜遅くに帰ってくるみたいなこともやっていました。

厳しい研究室であってもとりあえず「銀行や郵便局に行ってくる」と伝えれば外出許可は容易ですし、

本当に自由であったと思います。

企業での研究になるとそのような自由気ままに行動することはほとんど不可能です。

企業では労働時間をしっかり記入することが必要であり、外出する場合はみんなに周知しなければなりません。

したがって、余程のことがない限り、昼に途中数時間外出して用事を済ませることは行わなくなり、自由気ままな行動が困難になります。

毎週、場合によっては毎日近況報告

企業での研究となると逐一近況報告が必要になります。

少なからず毎週の報告は必須になってきますし、人によっては毎日報告する人もいます。

やはり研究のために給与を貰っていますし、予算内で結果を出さないといけないので報告に関してはかなりマメに行う必要があります。

学生のころは、漠然と「今週はこれをしようかな、明日はこれをしようかな」と考えていました。

研究の事に関しても先生に聞かれたら答えましたが、

そこまで頻繁に聞かれたことはありませんでした。

また、何も考えずにとりあえず実験をやって後で考察などは考えればよいかと思っていた日もありました。

しかし、社会人では考えて自分の見解を示す機会がマメになるので、常に次に何をやるかを考えながら研究を行っています。何も予定がない日や出勤してからやることを決める日は全くありません。

学生のころとは比べ物にならないほど濃厚な日々を送っているので身体的、精神的な負荷があると感じています。

責任感がある

厳しい話ではありますが、雇用関係があり、お金を貰うことによりその責任を業務で果たすことが求められてきます。

かなり少数ではあるとは思いますが、学生であっても研究室からお金をもらって研究を行っている場合は、サボれないと感じていたり、教授からの要望に応えることが必要になっています。

金銭と責任の重さが見合っているかどうかはさておき、

雇用関係を結ぶ時点で及第点以上のパフォーマンスを期待されます。

そのため、学生のころより、うまくいったときの理由やうまくいかなかったときの理由が細かく求められます。

一つ一つの実験から何が何でも知見を得ようとします。学生のころはうまくいかなかったし、とりあえずもう一回やってみるかみたいな軽い気持ちでしばしば考えていました。

企業では無駄な実験など一つもなく、微妙そうなデータであっても考察をしつこく行っていき、うまくいかない理由を深堀したり、頭が痛くなるほど行います。

正直私はこれが最もしんどいです。

理由が良くわからないものを、測定機器の可能性から実験で使用しているメーカーごとに微妙に違う原料、人の操作の違いによるもの等々あらゆる可能性を詰めていくのはかなり骨が折れます。

利益を追求する組織の中で研究を行っていくことの厳しさを日々痛感しています。

仕事の明確な区切があまりない

日々働いていてときどきしんどく感じるのはプロジェクトの明確な区切が不明瞭であることです。

もちろん研究のプロジェクトは様々なものがあり、突然テーマが変更してしまうこともあります。

流動的に次のテーマが現れてくるので、テーマが変わったら突然次のテーマに取り組むことになります。

明確な仕事の区切りをつけにくく、一呼吸できる場面があまりないので、

かなりのハイペースで長距離走を走っているかのような感覚になります。

派遣さんなら自分が携わっているのが終わったら一旦区切がつくとは思いますが。

学生のころは学会が終わったら数日間休んだり、研究室に行ってもサボりつつやったりと手を抜きつつできたりもしましたが、社会人は自主的に区切を付けるのが難しく感じています。

お客さんに近ければ近いほど忙しい

同期を見ていて感じますが、1を100にするような研究などお客さんと密接に関わっている研究はかなり忙しいです。

反対に、0を1にするような「うまくいったらお客さんを探して売ろうかな」

というようなテーマの場合は、マイペースで研究ができます。

急いで研究をやってもそもそもうまくいくかわからないし、

先が見えていないとなると急いでも仕方ないからです。

同期を見ると研究内容によって仕事の負荷が全く異なり、

お客さんと関わってるような研究をしている人は多忙で心身がボロボロで、逆に基礎研究に近いことをしている人は残業も少なく、仕事もゆとりを持って取り組んでいる感じです。

残業時間を聞いても2倍くらいは開きがあるので、全然違います。

基礎研究に近いことをやっている人は場合によっては学生の頃より楽な人もいるかもしれませんが、お客さんと関わっている人は学生時代よりしんどくなりがちです。

大変だけど学生の頃よりは良い

「学生で研究室が忙しいにも関わらず、社会人になってさらに忙しくなるのか」

と絶望を感じている人もいると思いますが、

安心してください。

個人的には大変だけど大学の研究の頃よりは良いと感じています。

もちろん、学生の頃が自由でしたし、好き勝手できた部分はあったのは事実です。

しかし、社会人も案外悪くないです。

お金がもらえることもそうですが、

やっぱりプロジェクトの規模が大きい研究ができるのはやりがいを感じますし、

しっかりガントチャートを作成し、綿密な計画を立てて中長期的に研究を作り上げていくことは楽しいし、学べる点も非常に多いです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。